漱石と〈時代〉:没後百年に読み拓く

漱石と〈時代〉:没後百年に読み拓く
定價:760
NT $ 360 ~ 722
  • 編者: 范淑文
  • 出版社:國立臺灣大學出版中心
  • 出版日期:2018-03-29
  • 語言:繁體中文
  • ISBN10:9863502634
  • ISBN13:9789863502630
  • 裝訂:精裝 / 304頁 / 15 x 21 cm / 普通級 / 單色印刷 / 初版
 

內容簡介

  誕生於二十世紀初,日本近代化告一段落的漱石文學,真切地描繪出當時的社會問題、當下文化思潮的反映,以及作家自身的苦惱。不僅如此,漱石文學也因涉及許多隱喻表現而意義深遠。本書以向二十一世紀傳遞百年漱石文學的訊息為方針,透過嶄新的視角與觀點,力闢深入的解讀,堪稱一部劃時代的漱石研究著作。

  歳月を経てもその作品がなおも広く愛読される作家は限られる。明治の大文豪夏目漱石はその好例である。日本型近代化が一段落した20世紀初頭に誕生した漱石文学は、当時の社会問題や時代の思潮、さらには作家自身が抱える悩みなどを切実に紡いでいる。それが故、隠喩表現も多く奥が深い。

  だが、当時不可視的とされたものも時代が変われば、可視的になる。時代を越え異なる価値観を持つ読者や、空間の異なった異文化の読者は、創作時と異なった視点より読み解くため、新たな捉え方は無限にあり得るだろう。本書は百歳を超えた漱石文学のメッセージを21世紀の世に向けた指針として新たな視座、新たな捉え方で読み拓こうとする画期的な力作である。
 
 

作者介紹

編者簡介

范淑文(ハン シュクブン)


  1954年生於臺灣桃園縣,2010年於取得御茶水大學人文科學研究博士學位,現任臺灣大學日本語文學系教授。研究領域為日本近現代文學,主要著作為《文人の系譜――王維~田能村竹田~夏目漱石》(三和書籍,2012年),並編有《日本近現代文学に内在する他者としての「中国」》(臺大出版中心,2012年)等書。

  1954 年、台湾・桃園県生まれ。2010年御茶ノ水女子大学人文科学研究科博士号取得。台湾大学日本語文学科教授。専門は近現代文学。著作には『文人の系譜――王維~田能村竹田~夏目漱石』(三和書籍、2012 年)、『日本学研究叢書 3  日本近現代文学に内在する他者としての「中国」』編著(台湾大学出版社、2012 年)などがある。
 
 

目錄

序文 漱石と〈時代〉―没後百年に読み拓く―╱范淑文

第一章 漱石と近代・漱石と現代╱石原千秋
第二章   『坊っちやん』の〈兄〉〈弟〉 と『三四郎』の〈兄〉〈妹〉―明治時代の家族―╱仁平道明
第三章 漱石漢詩の一側面―「観楓」「太平洋」「幽居」を通して―╱朱秋而
第四章 代助と三千代の恋――『それから』に語られている〈時代〉╱范淑文
第五章 ことばの観察者 夏目漱石╱田島優
第六章 近代日本語の確立者としての漱石―文章構成の視点から―╱落合由治
第七章 漱石作品の外来語╱林慧君
第八章 漱石のテキストに見られる「どうせ」の使い方╱黃淑燕
第九章 夏目漱石文学と観相学╱坪井秀人
第十章 オリエンタリズムと分裂する主体―『彼岸過迄』における主人公の機能―╱生方智子
十一章 韓国における夏目漱石の受容―翻訳を通して考える―╱李漢正

人名索引
事項索引
編集者略歴
執筆者略歴
 
 

序文(抜粋)

范淑文(台湾大学日本語文学科教授)

  明治の大文豪夏目漱石が大正5(1916)年にこの世を去ってから、早くも百年の歳月が経った。この記念すべき2016年に当り、日本は勿論、海外である台湾でも漱石没後百周年記念シンポジウムを行ったり漱石の代表作の翻訳本を新たに出版したりと様々な形で漱石文学を読み直そうとする動きが見られた。そうしたなか去る4月30日に、台湾大学日本語文学科及び日本研究センター共催の「漱石没後百周年記念国際シンポジウム」が台湾大学文学院講演ホールで開催された。当日は、著名なる石原千秋氏、田島優氏及び坪井秀人氏三名の講演をはじめ、韓国や日本、中国、台湾の専門家により、文学、語学、文化などそれぞれ異なった視点から漱石文学を捉えなおした数多くの論文が発表された。会場では参加者が互いに漱石文学を語り合いながら、漱石の精神や漱石文学を二十一世紀に蘇らせようとする雰囲気を満喫していた。漱石没後百年の歳月が経った今日、漱石文学を新たに捉えなおそうと試みた「今」の漱石文学研究の在り方を後世に繋ごうという思いで、今回ここにシンポジウムで講演や発表された論文を抜粋し、この漱石と〈時代〉―没後百年に読み拓く―に集結することに至った次第である。

  所謂文学作品が、当時の社会問題や時代の特徴、また作家個人が抱えていた悩みや問題などの反映だと思われるのは贅言を要しない。しかし、時も数十年、百年、乃至数百年と経過してくると、新たな捉え方が芽生えてくる。当時隠喩表現がなされ不可視的なものも時代を越えて可視的になることもあるし、また、時代を越えた読者――異なった文化や文明を受け入れた読者――や、空間の異なった読者―異国の文化を持つ読者―が創作時と異なった視点より読み解くため、新たな捉え方は無限になり得るだろう。

  繰り返しになろうが、文学作品は作家の観察や描写によって、それぞれの時代が反映され、後世に残されていく。そして時代や国を越え、作家に語られた〈時代〉の現象や特徴は異なった時代の社会を生きている今の読者によって、その現象に対する反応や捉え方などが変ってくるものである。こうした作品の普遍的価値の存在を射程に、本書に収録した論文は最も典型的な文学の視座をはじめ、語学の視座、または文化の視座というように文学に隣接する領域にまで視点を広げ、より多角的に漱石文学を新たに捉えることを意図した研究である。逆に百年の歳月を経た今日だからこそ、多角的に新たに浮き彫りにできるのではなかろうか。例えば、制度の問題、〈近代〉をめぐる〈性〉の問題や、または作品に多用されている表現や言葉、近代日本語の形成における位置付や西洋化の反映がそうである。また、面相学や医学の観点より作品のキャラクターの設定をより明白に掴むことができ、国を越えて、外国で漱石文学が如何に受容され、その受容の状況から漱石の創作時期の〈時代〉がほかの国ではどのように再現されるのかという問題も垣間見することができたのである。

  眠っていたかと思われていた「世界文学」という言葉が、最近、学術界においてまた注目されはじめている。この言葉を初めて用いたのは、中世ヨーロッパの文豪ゲーテが嚆矢とも言われる。彼の概念には限りはあったが、「今日の世界文学」としての意義が問われているからこそ、今正に蘇っているのではなかろうか。これはとりもなおさず、ゲーテの「世界文学」の新たな捉え方、つまり新しいパラダイムの出現が求められているに他ならないからである。こういう意味でも世界中で受容され続けている漱石文学を「国民文学」としてではなく、「世界文学」的に捉えるというのは意義深いと考えられる。本論文集も新しいパラダイムへの指針の布石の一つになれば幸甚である。

 
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